小説

ウェブカレ・・・日記・・・

 繁華街。花葺と綾川先生は腕をつないで歩いていた。

 「あ、先生。ゲーセンでもぐらたたきを一緒にしましょうよ。」

 花葺と綾川先生はゲーセンで一緒にもぐらたたきをした。

 そして綾川先生が格闘技ゲームをしているのを花葺はみた。

 「昔はよく弟と遊んだものです。弟は格闘技ゲームは得意ですけど、パズルゲームはてんでダメなんですよ。」

 綾川先生がクスクスと笑いながら花葺に話す。

 そしてその後繁華街にある水族館で、花葺と綾川先生は魚をみながらアイスクリームを食べた。

 「もし、先生と君が同級生だったらどうします。」

 綾川先生が同級生だったら?花葺は考えたことがなかった。

 「そうですね。まずは制服デートはかかせませんね。」

 花葺がにっこりと微笑む。

 「ちょっとついてきてもらえますか?」

 綾川先生は花葺をつれて噴水の前にたった。

 「靴を脱いで入りましょう。」

 「え?」

 綾川先生が花葺をさそい、二人は噴水に入った。

 「花葺さんは噴水の左に立ってください。」

 綾川先生と同じ噴水の右側に立っていた花葺は左側へいく。

 「目を閉じてください。」

 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の

       われても末に あはむとぞ思ふ

 綾川先生は和歌を心の中でとなえた。

 「こんな気持ち久しぶりです。」

 ごきげんな綾川先生を疑問に思う花葺であった。そして、

 「ねぇ、先生。マンガ喫茶にいきませんか。」

 と誘う花葺であった。

          (完) 

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ウェブカレ・・・日記・・・

 花葺は相葉君の家になんだか勢いでおじゃましてしまった。

 相葉君の部屋。

 「ダンクシュート。」

 相葉くんがベットの上にあるバスケットゴールにダンクをきめた。

 ベットのまわりにはバスケットのアニメや現実のバスケットのプレイヤーのボストカードが貼ってある。

 「相葉君、ベットがこわれる!」

 花葺がそう叫ぶと、

 「これぐらい平気、平気。ゴーロゴーロ。」

 相葉君が花葺をおしたおして床をゴロゴロとまわる。

 「きゃ!」

 花葺は驚く。

 そして・・・・・。

 花葺は相葉君とお菓子を食べたり、ジュースを飲みながら、テレビをみたり、マンガを読んだりしてすごした。

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ウェブカレ・・・日記・・・

 そういえば花葺はバスケット部のマネージャーになった。そしてバスケット部が試合に勝ったうちあげをおこのみ焼き屋さんでやっている。

 「ちょっとそこどいてよ。」

相葉君の隣に座っていたら、マネージャーの山田先輩にそういわれた。

 「ま、仲良くしてやってくださいよ。山田先輩。」

 相葉君が山田先輩にむかってウィンクする。

 「まっ、向かいの席でもいいか。」

向かいの席に山田先輩が座ろうとした時。キャプテンの武井先輩が来て、山田先輩を連れていった。山田先輩は武井先輩のだいのお気に入りなのである。男あさりをしにバスケット部のマネージャーになったといってるだけあって、自分に好意をもっている男には弱いらしい。花葺をひとにらみしたら、山田先輩は武井先輩についていった。

 「山田先輩ったら、こ~んな顔してたね!なんでだと思う?」

 「相葉君ったら^^」

 花葺はおもわず相葉君の膝をつんつんとつつく。

 「その上目づかい禁止!!」

 顔を真っ赤にして相葉君は頬に手をあてた。

 「いいな~。僕もケーちゃんの隣に座りたい。でもおまえらのことだからホッペにチュぐらいがせいぜいだろう?」

 前にいつのまにか座っていた花村君がからかうようにいう。確かに正解だ!花葺も相葉君も驚きをかくせない。いつも試合に勝った時のごほうび?に抱きしめあって花葺が相葉君の頬にキスしているのである。それ以上の進展はない。最近やっと部活帰りに、

「手~つなご。」

と相葉君がいってくれて、手をつないで部活の帰りに一緒に帰った。実に微笑ましい関係だ。

 「さ~て、お腹もすいたし、はやくおこのみ焼き焼こうぜ。」

 花村君にせかされて、おこのみ焼きを花葺のテーブルでは焼き始めた。

 「ところでケーちゃん。僕呪われているみたいなんだ。寝ていると毎夜毎夜女の子が首を絞めに来るんだ。ケーちゃんと同じぐらいの年ごろの子みたいだから、ケーちゃんが話せばわかってくれるかなって。だから僕の家に泊まってくれないかな・・・・・なんて・・・・・。」

 相葉君が花葺にたのみごとをする。

 「え!わたしこれでもつきあっている人いるし、いきなりは・・・。」

 花葺がとまどう。そして真剣に花葺は悩む。

 「つきあっている人って誰?いまのはうそうそ。ごめんね。そのつきあっている人に伝えといて、油断していると後悔するぞって。」

 「相葉がケーちゃんに好意をもっていることはわかったけど、うそはいけないな。」

 花村君が相葉君に注意をする。

 「そうだな。」

 一緒の席に座っている同期生も同じ意見のようだ。

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ウェブカレ・・・日記・・・

 花葺がりゅうちゃんの部屋にいる時。

 花葺はりゅうちゃんの膝の上でCDを聴いていて、CDを聴き終わった後、いい曲だったねと花葺はりゅうちゃんに微笑む。

 「そういう顔は俺の前だけにしろ。」

と花葺にりゅうちゃんはいう。調子いいんだから。そう思い花葺はりゅうちゃんにまた微笑みかけた。そしたら・・・。

 「おまえってばかっぽいな。天然ぼけはいっているだろうおまえ。」

と花葺はりゅうちゃんにいわれ、花葺はりゅうちゃんに髪をくちゃくちゃとされる。愛情は感じる。でも・・・。ばかという言葉がひっかかった。

 「もう帰る。」

 花葺は怒ってりゅうちゃんの膝の上から離れて、歩いていき部屋からでていこうとした。

 「隙ありすぎなんだよお前。」

 りゅうちゃんが部屋ドアをおさえこむ。

 「俺の部屋にきたからには覚悟はできているんだろう?」

 りゅうちゃんはしらけた顔をする。なにかものたりないと・・・・・でも・・・・・。

 「あ、MTVみのがすところだった。」

 といきなりいいだして、テレビに向かうのであった。

 「あ、そう、そう、帰ったら兄貴と抱きしめあってキスしているシーンばらすからな。」

 りゅうちゃんに学校の準備室で綾川先生と花葺とで抱きしめあってキスしているシーンを携帯に撮られて、ばらされたくなかったら・・・とおどされている花葺である。挑戦状かなにかりゅうちゃんは、花葺がりゅうちゃんの膝に座らされて、抱きしめられてキスされて、りゅうちゃんはアッカンベーをして花葺はウィクしているシーンを花葺の携帯に撮って綾川先生に送ったのである。そしたら綾川先生ったら花葺に、

「おばかさんですね。」

だもの。この兄弟はまったく。花葺にとってばかは最近禁句である。

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ウェブカレ・・・日記・・・

 花葺。自宅。部屋。

花葺は綾川先生と話したくなって夜に電話をした。

電話をかける音が花葺の耳に鳴り響く。

 「はい、もしもし綾川です。」

 電話のバック音には家庭で流れていないようなジャズの音楽がきこえる。

 「先生。花葺です。」

 「花葺さんですか。」

 「ちょっと、この子は誰なんだい。」

 花葺と綾川先生の間に女の人の声がわりこんでくる。綾川先生に女の兄弟いたっけ?友達かな?と思う花葺だ。

 「今バーで飲んでいるんですよ。あなたは良い子ですね。もうちょっとしたら一緒に飲みましょう。」

 花葺は高校生で綾川先生は大人だ。

 「あ、そっか、今つきあっている良い子ちゃんかい?」

 綾川先生の側にいる女の人が綾川先生にからんでいる。

 「信じてくれますよね。では。」

といい綾川先生は電話をきってしまった。

 電話のきられた音が花葺の部屋でむなしく鳴る。

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ウェブカレ・・・日記・・・

 綾川先生の家に遊びにいった時。

  「先生の部屋あいかわずアニメのグラビアの写真が貼ってあるんですね。」

  「そうですね~。」

  花葺に綾川先生が呑気そうに答える。綾川先生だって健全な男だ。そういうのもありだと思うが・・・。

  「このコスプレなんか花葺さんにしてもらいたいですね~。」

  「え!」

   綾川先生の言葉に花葺はとまどう。

  「冗談ですよ。ついでに写真も撮りたいなんて。」

  綾川先生は顔をポッとさせる。綾川先生がかわいいと思う花葺だ。それに花葺はなぜかうれしい。

  「あのですね。花葺さん。商店街の福引の景品でダンスダンスレボリューションがあたったっんですが、一人でやるのはつまらないんです。一緒にやってもらえますか?」

  「いいですよ。」

  花葺は快く綾川先生のお願いをひきうけた。そして花葺はダンスダンスレボリューションをやって顔を赤らめるはめになる。だって綾川先生ったらスカートの下に顔を通したり、おしりとおしりをぶつけてきたりするんだもの。ダンスダンスレボリューションが終わった後、

「グラビアバンザイ、ダンスダンスレボリューションバンザイ。フー。」

と額を拭い綾川先生が興奮した。花葺はもう手におえないとおもった。でもそんな綾川先生ってうけるとおもった花葺だった。だって綾川先生っていつもかっこつけてばかりいるんだもの。

 そしてその後綾川先生ったら、「君はコスの本当の意味をわかっていますか?」「先生と補習授業が必要ですね。」と花葺にいい花葺をまいらせた。

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ウェブカレ・・・日記・・・

  繁華街。花葺とりゅうちゃんはゲーセンにいた。

  「ちょっと欲しい景品があるからねらってくる。おまえはこれでもしていろ。」

  りゅうちゃんがメダルを交換して花葺にわたし、花葺にジャンケンゲームをしとくようにいう。

  「行ってらっしゃい。」

  「ああ。」 

  花葺は真顔でジャケンゲームと格闘する。そしてしばらくしたら、コインがなくなった。

  (もうあきたしりゅうちゃんをさがそう。)

  花葺はりゅうちゃんをさがしにいく。

  (射的かな?)

  花葺は射的のコーナーにりゅうちゃんを探しにいくがいない。そしてゲームコーナーを歩きまわっていたら意外な場所にいた。バスケットのシュートのゲームコーナーだ。

  「なにやってるの?」

  花葺はりゅうちゃんに聞く。

  「なに、軽い準備体操だよ。」

  「~♪」

  りゅうちゃんがバスケットボールをなげるとあぶなげだが、バスケットボールはゴールに入った。

  「やったね。」

  花葺はガッツポーズをとる。

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ウェブカレ・・・日記・・・

  りゅうちゃんに花葺は学校の裏庭によびだされた。

 「バスケットのマネージャーになるんだって。」

 りゅうちゃんはふきげんそうな顔をする。

 「わたしのかってでしょう。」

 花葺はそんなことをきくためにりゅうちゃんはよびだしたのかと驚く。

 「口ふさぐぞ。おめえ。」

 りゅうちゃんに花葺は強引に口をふさがれ抱きしめられる。

 「なにすんのよ。」

 花葺はりゅうちゃんをめいいっぱいつきはなそうとするが、りゅうちゃんと花葺の力の差はれきぜんとしている。りゅうちゃんは体をきたえてないくせに力もちで、花葺は非力。ま、体をきたえてないことにかんしては人のことはいえない花葺だが・・・。抱きしめられると・・・・・。

 そして・・・・・。 

「おまえはオレのことだけみつめていればいいんだ。」

とりゅうちゃんに真剣にささややかれると花葺はまいる。りゅうちゃんの声っていい声しているんだ。これが。

 そして花葺はりゅうちゃんの膝の上に座らされて、

 「また一緒にライブにいったりしてデートしような。」

とりゅうちゃんにデート?を誓わさせる花葺である。

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ウェブカレ・・・日記・・・

  学校の放課後。花葺は相葉君のいるバスケ部にいった。

 でも花葺はどうしたらいいのかわからずバスケ部の練習をみているだけ。

 そしたら相葉君が練習にひとくぎりついたら花葺に声をかけてくれた。

 「こっちにおいでよ。」

 相葉君がTシャツの姿でタオルを持って汗をふく姿もかっこいい。

 「うん。」

 花葺は体育館にあがる。

 「僕のパスうけとめてよ。」

 相葉君がバスケットボールをかるく投げる。

 「わっ。」

 あわてて花葺がパスをうけとめる。

 「ついてきて。」

 相葉君がゆっくりとバスケットボールをドリブルをして、花葺にバスケットボールをかるくパスする。そして花葺がそれをうけとめる。そして相葉君がドリブルといったら花葺はそうして、パスといったらそうする。そして相葉君にいわれて花葺はバスケットのゴールにシュートする。そしてはずす。

「こうだよ。」

 相葉君が花葺にみっちゃくしてコーチをしてくれて、バスケットボールはゴールに入った。

 「ほらね。そう。そう。グールグール。」

 相葉君が花葺を抱いてまわす。

 「きゃ、スカートがめくれる。」

 花葺は制服のスカートがめくれあがってあわてる。でも相葉君は平然と笑っている。

 そしてその後・・・・・。

 「ねぇ。僕のマネージャーにならない。」

 と相葉君に誘われた花葺であった。

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ウェブカレ・・・日記・・・

 綾川先生と花葺は関係をむすんでからだいぶしたしくなった。でも・・・。

放課後。綾川先生がテストの採点をしているのを、花葺は膝によりかっかってみている。すると・・・。

 「良い子は早く帰りなさい。」

 綾川先生が紙にペンをはしらせながらそういう。そしてもっと綾川先生といたいというと花葺がいうと、

 「宿題いっぱいだしちゃおうかな。」

と綾川先生は花葺にいってくる。

 友達に相談すると、「男は仕事、仕事。わたし社会人とつきあっているけどそうだよ。いいかたからつたわりにくいかもしれないけど。それが不満なら相葉君のおっかけでもしていれば。」

 だそうだ。そうしちゃおうかな。バスケ部のマネージャにでもなって。運動するのは嫌いだけれども、人がしているのをみるのは嫌いではない花葺である。

 でも、花葺はしっている。「そこ、試験にでますよ。」とあまく綾川先生が肩に手をおいて授業中にこっそり試験にでるところを教えてくれたり、準備室ではやさしくって?あんなことやこんなことをしてくれることを。

 でもね・・・・・。

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ウェブカレ・・・日記・・・

 花葺は綾川先生の家にいった。

 「花葺さん、こちらへいらっしゃい。」

 綾川先生が花葺をつれていったのはお風呂場だった。そして綾川先生は花葺の洋服をゆっくりと堪能するようにぬがせる。花葺は綾川先生のことが好きだから体がさかえない。

 「わたしだっていつもやさしいとはかぎらないんですからね。」

 綾川先生はお風呂場で花葺の体を丁寧にあらってくれる。

 「きゃ!」

 花葺はおもわず体をふるわせる。

 「体のスキンケアをかかさないようにしないと。」

 「きゃ!」

 綾川先生にさわられてまた花葺が体をふるわせる。

 その後お風呂からでてすることいえばきまっている。

 「先生はわたしのことどうおもっているんですか?」

 ことがすんだ後花葺はきいてみる。

 「だからわたしだっていつもやさしいとはかぎらないんですよ。」

 綾川先生がにこりと微笑む。

 りゅうちゃんといい、綾川先生といい、この兄弟っていったいわたしをなんだとおもっているんだと思いながら、洋服を着る花葺であった。

 「さて、次はなにをしましょうか。」

 りゅうちゃんのことを相談にきたことをまるでわすれたかのようにという綾川先生であった。

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ウェブカレ・・・日記・・・

 花葺はりゅうちゃんが彼氏でもないのに、あんな?関係でいいのか、お昼休みに友人に相談した。

 「それってさ・・・。花葺。いいようにふりまわされているだけじゃない。みついでもらえばいいってもんでもないでしょう。」

 「一度綾川先生に相談してみるといいよ。」

 花葺はさっそく綾川先生の授業が終わるとつかまえる。

 「あの弟君のことで相談したいことがあるんですけど。」

 「わたしはやぼなことはしたくないんですが・・・。」

 「でも・・・。」

 「わかりました。わたしの住所です。よかったらきてください。」

 綾川先生はいつのまにか一人暮らしをはじめたのだ。

 そして花葺は放課後綾川先生の家にいった。それが失敗?(成功?)の始まりだともしらずに。

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ウェブカレ・・・日記・・・

 それはせつない恋でした。ラブレターをわたしたらいきなり壁にわたしをおしあてて、綾川先生は手を壁にあてて、上からみおろすようにみて、ラブレターをつきかえしてきてきました。花葺は呆然としてなにもできなかった。綾川先生はだまってさっていった。

 そしてりゅうちゃんの家に遊びにいった帰り、手をつないで綾川先生が女の人と歩いて来るのをみたのはその他の日でした。

 「兄貴はおまえのこと眼中にねぇよ。」

 りゅうちゃんが手をふる。

 「それはきみだっておなじでしょう。はじめてりゅうちゃんと寝た日の寝言が『先生。やわらけえ。』だもの。驚いちゃった。」

 さすがのりゅうちゃんもきまずそうだ。

 「オレにほれるとやけどするぞ。」

 りゅうちゃんははぐらかすようにいう。

 「本当。きみにほれたらやけどしそう。」

 花葺はあきれたようにいう。

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ウェブカレ・・・日記・・・

 花葺とりゅうちゃんが繁華街にいる時。二人は洋服屋にいる。

 「これなんかケーちゃんに似合うじゃないか?」

 りゅうちゃんが花葺の背中に洋服をあてる。

 「いいかも。試着してみるね。」

 花葺は試着室にいって着替える。そしたら毎度毎度せっかちなりゅうちゃんが、試着室のカーテンを着替え中にのぞきこんでくる。

 「きゃ!りゅうちゃんのエッチ!」

 花葺はあわてて洋服でブラやバンツをかくす。

 りゅうちゃんのエロ度?はこの程度ではおさまらない。

 繁華街。ベンチ近く。

 「ここは人が多いな。ベンチでいっぷくするか。」

 「うん。そうする。」

 わたしとりゅうちゃんはベンチへいく。そしたら・・・。

 「ちょっとなにするのよ!」

 「もうがまんできねぇ。」

  りゅうちゃんは花葺をお姫様だっこして、キスをして舌をいれてくる。そして・・・。

 「またひっかっかった~♪」

 りゅうちゃんが笑う。

 「わたしはたしかにミーハーだけれども、綾川先生のことが本当は好きだってしっているでしょう。」

 花葺は制服の前のボタンをとめながらいう。

 「兄貴もてるぞ。オレももてるけどな。」

 クスクスとりゅうちゃんが笑う。

 「どうせわたしはもてませんよ。」

 花葺はふくてくされる。

 「ひがむなよ。」

 りゅうちゃんがまたクスクスと笑う。

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ウェブカレ・・・日記・・・

学校の休み時間。相葉駿という男の子がまたからんできた。わたしの筆箱を持って走りさったのである。

「こら~。かえせ~。」

わたしは追いかけるが、とうていおいつかない。相手は体育を得意とする男の子だし、わたしは体育を苦手とする女の子だ。

「ほれ、ほれ。」

相手は余裕をかまして、筆箱をふりかえりながら、ちらつかせる。

わたしがもうあきらめてたちどまると・・・・・。

「はい、もうかえすよ。」

 相葉君が筆箱をかえしてくれる。そして、

「顔近いよ。顔赤いよきみ。」

と相葉君がいう。わたしも相葉君もおちびさんなんだ。そして同じぐらいの身長。だから筆箱を受け取る時顔が近いのはしかたないし、顔が赤いのは走ったからだ。けして実は相葉君のことをアイドルみたいに思っていて、授業中にノートに似顔絵を落書きなんてしてないからね。みてもへたでわからないと思うけど。わたしは主要五科目の成績はふつうでけっこうまじめに授業をうけているんだから。

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教室にかえるとりゅうちゃんが、相葉君の頭の上からこずく。そしてりゅうちゃんは、

「ケーちゃんのことあまりからかうなよ。」

と相葉君に注意した。ケーちゃんとは花葺のことである。名前が花葺圭子でしたの名前からとったのである。

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ウェブカレ・・・日記・・・

 授業中。花葺の前には綾川竜士ことりゅうちゃんが座っている。花葺は別に綾川先生とあったことをりゅうちゃんに話すきはない。あれは事故だ。それに彼女でもいまはないのだから。

 「興味ないね。」

 「ちょっとりゅうちゃんその先生にたいする返事はなに。」

  りゅうちゃんにたいして花葺が注意する。

「だってこの授業本当にたいくつだろ。一緒にふけようぜ。」

りゅうちゃんがぬけだし、花葺はおいかけどうどうと教室からぬけだす。

「ちょっと。なにするのよ。」

「バーカ。これくらいきにすんなって。」

「きにするわよ。」

「オレはいまきげんが悪いんだ。話かけるな。」

「ごまかすな。」

 花葺が本気で怒りだしそうなので、りゅうちゃんはほれたよわみか、

「わるかったよ。」

とあやまる。りゅうちゃんは実は別れても花葺に未練があるのである。

「バイトでストレスたまっているんだよ。ねみー。」

普段りゅうちゃんに洋服を買ってもらったり、クレーンゲームでぬいぐるみをとってもらっている花葺はなんともいえない。それに自分がぬけている性格なのは重々承知でアルバイトなどできそうもない花葺にはそれをいわれるといたい。

「屋上へつづく階段の渡り廊下で寝る?膝枕してあげるよ。」

「サンキュ」

りゅうちゃんは花葺の膝枕で、眠りにつくのであった。

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ウェブカレ・・・日記・・・

 資料室。花葺はあいかわずぬけている性格で、ころんで資料をぶちまけてしまった。綾川先生がお姫様抱っこをしておこしてくれる。

 そして花葺を椅子に座らせてくれて綾川先生は、

 「痛いところはないですか?膝とかはすりむいてないですか?」

綾川先生は花葺の制服のスカートの下からかがんでのぞきこむ。

 (これくらい役得です。実はわたし花葺さんのこと好きなんですから。)

 綾川先生っていやらしい。でも花葺は心配してくれてのだからと思ってる。

 「ちょっと目をとじてください。」

 花葺は目を閉じてみる。すると口に・・・・・。

 「先生、なにを!」

 目をあけておろおろする花葺を綾川先生は楽しむ。

 「口に舌いれて、キ、キスを!」

 「舌をかんでないかチェックしただけですよ。」

 「先生ったらもー。」

 花葺は顔をむれさせる。それを写真に撮りたいと思う綾川先生であった。

 「それぐらい自分でわかります。」

 花葺は腰をおこって、胸をよせてさけんだつもりでいるのだろうが、うまく舌がまわってない。キスされて動揺しているからだろう。

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ウェブカレ・・・日記・・・

学校。花葺は廊下を歩いていた。そしたら荷物をもちながら、綾川という先生が生徒にからまられている。

 「花葺さん、ちょっとこの資料を運ぶのを手伝ってもらえませんか。」

 花葺は綾川先生に声をかけれて驚く。

 「えー。先生。わたしが手伝います。」

 先生にからんでいる生徒がこびるようにいう。

 (きらわれなくなかったら二人きっりにしてくださいといっているんですよ。そしてこのことは内緒にね。)

 と綾川先生がからんでくる生徒にささやく。

 「え~。・・・・・・・・・・・・・・・。わかりました。」

 しぶしぶと綾川先生にからんでいた生徒がたち去ってゆく。

 「ありがとうございました。実はこういところを他の先生や生徒にみられたくなかったんです。でもまるっきり他人というわけではないんですよ。元彼の名前ぐらい覚えているでしょう。」

 綾川先生がにっこりと微笑む。

 「ええ、もしかして。小学生のころつきあっていたりゅうちゃんのお兄さん。」

 そういえば別れたりゅうちゃんには年の離れたお兄さんがいたっけ。

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ちょっと一息

コーヒーブレイク~pinoさんのイラストから~

 このコーヒーってあたたかい。手があついっていっている。そうえいえば別れた彼の香りににているな。コーヒーって。彼コーヒー好きだったから。

 くすくすって微笑む。

 思えば、見ないほうが幸せだったのかもしれない。彼が屋上へつづく階段で他の女の子とキッスしているところを。うわきしているってうわさは本当だったんっだ。部活の友達の教室からはみえていたんだぞ。確認しにいくのに度胸がいたんだから。結局その女の子とどこまでいったのかといただして、きいて別れたけど。なにが昼休みは友達とコミュニケーションをとってこいだ。ばっかやろー。

 わたしはカップをなげる。

 「あ、いけないんだ。」

 あ、    A組の秋葉君だ。

 「なによ、いまきがたっているんだからね。」

 とわたしが素直にあやまちをみとめないと秋葉君が、

 「そんなんだと男にもてないよ。」

 というからわたし泣きだしちゃった。

 「お~い、僕、そんなにきついこといちゃった。」

 と秋葉君が聞くから彼がうわきして別れたことを秋葉君に話す。

「そういう時はカラオケで歌うのが一番、ほら、自転車の後ろにのりな。」

 「え、でも・・・。」

 たいしてしたしくないのに、秋葉君にさそわれてわたしはちゅうちょする。

 「べつになにもしないって。」

 くったくのない相葉君の笑顔になんだか安心して、わたしはついていった。

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ちょっと一息

君の好きなもの~pinoさんのイラストをみて~

「タックンは何を読むでいるの?推理小説?」

 タックンみたいにかっこいいタイプならこれだとリサはかってにきめつめる。    

「さぁね、リサには内緒だよ。」

 「以外にボーイズラブだったりして。」

  タックンには妹さんがいてそっちの方面の小説が好きだが、その影響をうけないかひそかに心配している。タックンは妹さんをこよなく愛しているから。わたしがいれかわりたいぐらいだ。だってわたしタックンのこと・・・。実はリサはタックンが背後にいて、心臓ドキドキものだ。音が聞こえてないかな。音楽を聴くどころではない。

  「リサはいさましい曲が好きなんだね。」

  「え!」

  いまさらながらオトメッチクな曲も聴くようにしとけばよかったと思うリサである。

実はいさましい曲はリサの趣味である。ものごごろつく前に兄と同じ番組をみていた影響か。音がもれて聞こえていたのである。なんっていっていいのかわからないけれども、てれくさいやら、きはずかしいやら。

  「今度僕にも聞かせてね。僕ゲームとか苦手だから、そっちの方面だけでもみんなとあわせたいんだ。」

  タ、タックンが微笑みかけてくれた。そのことがうれしい。でも表情にでないように、「タックンってゲーム音痴なの?」と笑ってはぐらかす。

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ちょっと一息

 月下の白刃~pinoさんのイラストから~  

墓場からゾンビがよみがえる。 

「ゾンビどもめ。」

 バラのまきついた石造りのロザリオをつきさして、少女は攻撃をはじめる。みなバラのつるのえじきとなり、そのえじきにならなかったものは、少女の両手剣のえじきになる。ゾンビたちは青い血しぶきをあげてみな倒れた。少女は金色の瞳をしていたのが、緑の瞳にもどり、攻撃でゆらめいていた茶色い髪はさらさらのストレートヘヤにおちついている。そして服は緑だ。スカートがマントのようにゆらめいて美しかった。

 夜空には妖艶に月が輝いている。

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風吹く大地 エピローグ

 ここはダズとアンナのすんでいる村。広場は今日祭りでもりあがっている。農作物の種まきをおえ、豊作を願うのが祭りの趣旨だ。リズムはくずれているが、陽気な楽器の音を風が運ぶ。人の笑い声がこだまする。大人たちはお酒を飲んでいるから顔が赤い。普段はそりのあわない相手でも、祭りとなるとわきあいあいとしていたりする。

 アンナは村人たちをいちべつして、ダズの隣に座る。

 「ダズ、木の影にかくれていないで、あっちに行きましょう。」

 「はっ。かくれてねぇよ。」

 ダズがむっとして、つっけんどらんに返事をする。

 「はい、はい。わかったわ。とにかくあっちへ行きましょうよ。」

 木から木の葉が一枚落ちてくる。

 「アンナはあいつのことが好きなのか。」

 「あいつって誰のこと。」

 「ジョージのことだよ。くっついてしゃべっていただろう。」

 アンナがくすくすと笑う。

 「なに笑っているんだ。」

 ダズが眉をひそめる。

 「ダズってまわりに無頓着だと思っていたら、きにすることもあるんだなと。」

 (わたしのことをきにしてくれたのならうれしいけど。別にダスのことが好きってわけではないけど。)

 「なんだよ。それ。」

 (おまえだからきにしているんだろう。別にアンナのことが好きってわけではないけれどよ。)

 「お前って鈍感だな。」

 「なによ。」

 「鈍感ったら鈍感。」

 ダズもアンナもむくれる。はたしてこの二人の関係がはっきりする日はくるのだろうか。

 「とにかく行きましょう。もうすぐダンスが終わってしまうわ。」

 アンナが話しの方向をずらして、気分をきりかえる。

 「オレは踊らないぞ。」

 「行くの。」

 (ダズはわたしとパートナーを組むんだから。)

 アンナがダズの手をひぱって、村人たちの輪の方へ行く。楽器の音と陽気な笑い声が耳にだんだん響いてくる。村人たちの輪の中に入り、ダズとアンナがぎこちなくではあるが踊り始めた。

                 (完)

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風吹く大地 49

49、ハイデルではナダがすでに目をさましていた。麻酔針の効果はきれている。ハンスがハイデルを裏切ったことに、一番心をいためたのがナダだろう。

  「ハンス王子はかならずつれもどします。」

  「ナダ様がそのようにおっしゃってくださるとは、こころづよい限りです。」

  王の側近のジフィーがナダに微笑みかける。ナダにはそれがつくりものだとすぐにわかった。ナダはいったんため息をつき、気分をきりかえる。

  「この国はハンス王子の故郷です。本気で裏切るわえけがありません。」

  ナダはハンスがそんな薄情な者だとは思えなかった。父や母である王や王妃。そして血のつながった兄弟もこの国にはいるのだ。

  「ハンス王子をわたくしがつれもどしたら、水竜をにがした罪を軽くしていただく約束を忘れないでくださいね。」

  「はい。もちろん忘れたりなどいたしませんから。ご安心を。」

  そんなにてまわししなくても、王族であるハンスがそんなに重い罪にとわれることはないだろうが。ハンスとは身分がちがうことを、ジフィーはよくこころえていた。

  「ハンス様の術の力量の高さは、王もきにかけていらっしゃるのですよ。」

  ハンスは力を誇示するようなまねはあまりしなかったが、その威力は高く、文字には記されていない、極秘あつかいの術も数多く知っている。

  「行方不明のままでは、王はさぞかしご心配なされるなされることでしょう。」

  ジフィーはとても機械的にハンスの件について判断をしているようだ。けれどもナダは王の心配が親子の情からくるようであってほしかった。そのほうがハンスの地位がよくなると考えてのことだ。

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風吹く大地 48

48、月明かりがふりそそぎ、庭園がイルミネーションに照らされているようだ。花の香りがむせかえるようにただよっている。ここはとある宮殿で、誰かが二人歩いている。二人とも上質な織物の着物をきている。一人はふるまいが洗練されていて、いかにもお姫様という感じだ。もう一人の女性は洗練されたイメージはないが、おちついたふるまいをしている。宮殿で働いている侍女だ。

   (誰かによばれたような気がする。)

   お姫様のリサラがたちどまり、月を静かにながめる。

   「姫様、どうなされたんですか。」

   侍女が変わったことがないか空を見上げてたしかめる。

   「なんでもないわ。そろそろお部屋へ帰りましょう。楽器を演奏したいわ。」

   「今宵はなんの曲を演奏いたしますか。」

   「そうね。悲恋の曲はどうかしら。」

   (今宵は不思議とそんな気分。なぜかせつなさがこみあげてくるから。)

   リサラの脳裏にハンスの面影がうかんだ。

   (ハンスはどうしているかしら。)

   「君を愛しているからすべてをすててもいい。」

   リサラがいきなり歌をくちずさむ。

   空の月が雲でおおわれて、あたりの暗さがました。

   「愛する者のために、いままで出会った人々をすてるのはつめたいかしら。」

   「そうでございますね。」

   侍女が返事に困る。

   「ひたむきさはせめてはいけないはずよ。きっと。」

   リサラが独り言のようにつぶやいた。

   月にかかる雲がうすくなり、雲を照らす月が虹色のように輝く。

   

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風吹く大地 47

47、山頂は大地の一部であることにはかわりはない。けれども星が近くみえるような気がする。

  (妖魔の血をひくものよ。なぜわたしをたすけた。お前がわたしを封印するのに加担していたことは知っているぞ。)

  「僕はこの世がきらいではないからかな。」

  人を苦しめるようなことはしたくない。ハンスはいままでにめぐりあった人たちの顔を思い出していく。

  月はかげっていてもきれいだ。

  (世界が、か)

  「ハイデルでは竜たちの力を利用して世界を侵略しようとしている。そんなことが実現したら戦争になってしまう。」

  竜が封印された鏡はハイデル城の一室の部屋一面にあった。計画は順調に進んでいる。

  「そうなったら困るな。」

  リサラが悲しむようなことはあってほしくなかった。たとえ会えなかったとしても。

  (お前はかわっている。)

  「妖魔の血をひいているのに、そうらしくないかな。」

  まわりの者とはきがあわない、とはつねづね思ってはいたが。ハンスは深いところで孤独を感じていた。けれども国を裏切り、故郷の者に会えないとなるとせつなり、ぞっとする。

  (別に世界中から僕を知っている人がいなくなったわけではないのに。)

  山頂の空気はすんでいるけれども、なんだか冷たい。

    

  

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風吹く大地  46

46、ダズとアンナがセヌーネに出会った町の上空へきた。時計棟が時間を着実にきざんでいる。いよいよダズとアンナの故郷の村へ到着する。村はずれの丘へ水竜が着地した。旅立ちの時には朝日が大地をてらしていたが、今は夕日が丘をてらしている。

  「帰って来たのね。」

  (はやく家族に会いたわ。) 

  「ああ。」

  (アンナもオレも無事でよかったぜ。)

  この村の枯渇した川もまもなく水でうるおうことであろう。

  「さーて。村まで行くわよ。」

  (これで賞金がもらえるわ。)

  「そうだ。あの人も連れて行かないと。」

  アンナがハンスのいる水神様のいる背中によじのぼろうとする。

  (村へはこの者はたちいらないほうがよいだろう。わたしが連れて行く。)

  水竜は別れをおしむ様子もなく、自分のすみかである山頂へともどっていった。

  「乗せてくれてありがとう。」

  アンナとセヌーネが手をふって、ダズも見送る。

  

  

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風吹く大地 45

45、行きに時間をかけてきた道のりを、帰りは水竜が一直線に飛んで行く。

   「ほら、あっちに海が見えるわよ。」

   ダズとアンナは海を見るのは始めてだ。海は青い透明の色で、太陽の光をあびて輝いている。

   「なんだか大きな水溜りみたいだな。」

   ダズのかざらない表現にアンナはがっくりくる。

   「もうちょっとロマンのあるいいかたはできないの。あの海の向こうには僕達のみしらぬ大地があるんだ、とか。」

   「なんだかアンナって空想にぽっとうしそうなタイプよね。幼いころに、わたし将来はお姫様になるの、とか夢を語ってなかった。」

   「ああ、そいうこともあったぞ。」

   「わたしもお姫様にあこがれたことがあったのよ。広大なお城に住んで、たくさんの宝石をつけて、ゴージャスな料理を食べる生活。たまらないわよね。リッチだわ。」

   「なんだかやけに具体的だな。」

   「あら。そうかしら。ところでアンナ、ダズは王子様になりたいとかいったことはないの。」

   「ないわよ。」

   「ま、メルヘンは女のロマンだから。男には理解できないのかしら。」

   「男なら騎士をめざすものなんだよ。」

   (人間は空想する生き物なのだな。)

   いままでだまりこんでいた水竜がいきなり会話にわりこんでくる。

   「水竜は空想しないの。」

   (この世の生き物で空想するほうがめずらしいのではないか。)

   生き物によって特徴はさまざまだ。この広大な世界にはさまざまな生き物が存在している。

 

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風吹く大地 44

44、「前方にブラックホールの穴があくわ。よけて。」

   アンナの一言で水竜はすんでのところでブラックホールの穴をよけた。ハイデル側の兵士がまた一行の前にたちふさがる。

   「赤き炎よ。熱き炎よ。いざ。」

   ハイデル側の兵士がダズの攻撃をよけた。水竜が兵士の側を通過する。ハイデル城が遠ざかっていった。水竜が、

   「グオォォォオー。」

とないた。

   「やったわね。追っ手をふりきれたわよ。」

   「これで安心できるわ。」

   アンナとセヌーネが笑いあい、ダズが剣を鞘におさめた。

   

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風吹く大地 43

43、兵士たちが呪文を唱え始める。視界をさえぎるために煙幕をはるためだった。

   「ダズ、上。セヌーネさん、右。」

   アンナが指さした通りに、ダズとセヌーネはハイデル側の兵士の剣の攻撃を受け止める。剣がぶつかる金属音が鳴り響いた。セヌーネも剣術の心得はあるのだ。

   「火の精霊よ。いざ。」

   アンナが火の精霊を召還する。火の精霊は分裂すると兵士たちを追い払った。

   (いっきにつっきる。)

   水竜が二、三回翼を大きくはためかせると、飛行速度をあげた。煙幕から水竜がとびだす。するとハイデル側の兵士がまちかまえていた。

   「前方にブラックホールの穴が・・・

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風吹く大地 42

42、地下通路にはない大地と空。そしてハイデル城の兵士にかこまれてしまった。兵士たちは宙に浮いている。一行の行動はハイデル側につつぬけだったらしい。

   「裏切り者と侵入者に制裁のいかずちを。」

   「制裁のいかずちを。」

   「いかずちよ。光の刃よ。いざ。」

   兵士が十人ほど攻撃をしかけてきた。

   (われにまかせろ。)

   水竜が水の結界をはって攻撃をしのぐ。

   (水の刃。)

   水竜が水の刃で兵士たちを攻撃する。けれども兵士たちも防御の結界をはっているらしく、水竜の攻撃は敵にダメージをあたえなかった。

 

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風吹く大地 41

41、もう一度ハンスが空間移転用の穴をあける呪文を唱えはじめた。脱出用だ。

   「いったいどうしたの。」

   空間移転の穴をあけたハンスは地面に膝をつき、セヌーネがかけよる。

   「術を使いすぎたみたいだ。穴は外へと通じている。脱出するなら僕も連れていって。」

   ハンスはセヌーネの肩に倒れこみ、眠りにつき、三人は顔をみあわせた。

   「水竜の封印を解いてくれたお礼に連れていってあげましょうよ。」

   「ええ。」

   アンナとセヌーネがダズの様子をうかがう。

   「かまわないけれど。」

   (穴が消える。早くするのだ。)

   水竜が翼をはためかせる。

   ダズとアンナとセヌーネとハンスは、水竜の背中に飛び乗った。ハンスはダズがかかえている。

   水竜は大きく2,3回翼をはためかせると飛び立った。

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風吹く大地 40

40、ハンスが術を使い、五人の幻影をつくりだした。いずれも白いベールをまとっている。五人の幻影の持つ杖から、光が放たれる。五つの光が鏡に集まる。

   鏡が光だした。そして宙に浮き出して半回転する。鏡のミラーが下をむいた。そして空間に重力と同じ方向に圧力がかかった。

   風が空間を吹き抜けてゆく。鏡が割れる音と一緒に、

   「グオォォォオー。」

   水竜がおたけびをあげた。

   水竜の封印が解けて封印されていた鏡が散乱したのである。封印が解けたのだ。

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風吹く大地 39

39、「水神様のいる部屋まで連れてきて下さってありがとうございます。」

   「どういたしまして。お嬢さん。」

   アンナがにっこりと微笑み、ハンスもにっこりと微笑んだ。

   「ついでですからあの水竜の封印を解いていただけないでしょうか。」

   アンナが故郷の水神様の鏡を指さす。

   「かまいませんよ。封印を解く方法がわからずに困っているようですから。」

   (これでいいのか。)

   (なんだか狐と狸が穏やかに会話しているみたい。)

   ダズとセヌーネがぼそぼそと話す。

  

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風吹く大地 38

38、白い壁。鏡。反射する光。ここは明らかに他の空間とは違う。恍惚をさそうような空間だ。

   「なんだ。この部屋は。」

   ダズとアンナとセヌーネは部屋の雰囲気に呑まれてしまった。辺り一面をまんべんなく見回す。鏡には様々な属性の竜がとじこめられいる。火、土、雷、風。そして水などだ。

   「鏡を割ったら竜を開放できるのかしら。」

   セヌーネが壁に近づき鏡に手をかけた。

   「そんなことしたら竜をこちらの空間に召還しずらくなりますよ。」

   セヌーネの背後にハンスがいる。

   ダズが剣に手をかけて、ハンスの様子をうかがう。 

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風吹く大地 37

37、「お前は何者だ。」

   ダズがハンスを不信に思う。アンナとセヌーネもそうだろう。

   「口で何を言ってもおそらく信用はえられないだろう。」

   ハンスは軽くため息をついた。そしてハンスは空間移転用の穴をあけるために呪文を唱えあけた。

   「ついておいで。」

   ハンスが空間移転用の穴をくぐり、ダズとアンナとセヌーネはとまどう。

   「いくか。」

   「うん。」

   「ええ。」

   ダズとアンナとセヌーネは空間移転用の穴の前に立ち、宙に浮いて吸い込まれた。

   空間移転用の穴が閉じた後にはもう誰もいない。

    

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風吹く大地  36

36、三人は城内へと続く階段を登りおえた。そして扉をあけてお城の廊下へと侵入する。入ってみるとかくし扉になっていた。

   「誰か来るわ。」

   アンナの声を聞き、ダズとセヌーネが辺りをみまわす。天井に空間移転の穴が開いた。ダズとアンナとセヌーネの前にハンスが姿を現す。

   「敵だ。」

   ダズとアンナとセヌーネが武器などをかまえて警戒する。

   「炎の刃。」

   ダズがハンスを攻撃した。けれども見えない壁にはばまれる。防御の結界だ。

   「いきなり物騒だな。」

   ダズはハンスをにらむが、ハンスは平然としている。

   「水竜のいるところへ連れて行ってあげるよ。」

   ハンスの発言に、ダズとアンナとセヌーネがさぐるようにハンスの目をみる。

   「あ、この人汽車でみなかった。」

   セヌーネの発言により、ダズとアンナはハンスが汽車からいきなり姿を消した場面を思い出す。

   

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風吹く大地 35

35、水晶にはダズとアンナとセヌーネが映し出されている。三人はもくもくと城内へと続く階段を登り続けている。

  「ハンス王子、ここはわたくしがいきます。」

  ナダはせっぱつまっているので、ハンスの指示をあおがない。ナダは空間移転に使うための空間を切り開くために、呪文を唱え始める。

  「ナダ。」

  ハンスがナダの手をつかみ、ナダがふりかえる。ハンスとナダの目線がはっきりと重なり合う。ハンスがナダの腕に針を刺した。麻酔針だ。

  「あなたは、なぜ、こうも、わたしを、うら・・・ 。」

  ナダが倒れこみハンスが腕で支えた。

  (リサラのことが好きなんだ。裏切ってもこの国が故郷であることにはかわりはないけども。)

  ハンスがナダの開いた空間移転の穴をくぐる。そしてハンスの座っていた椅子にはナダが座らされいた。テーブルの上の水晶にはもう何も映っていない。

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風吹く大地 34

34、「ダズ、わたしを信じて。」

   ダズとアンナが一瞬見つめあう。

   アンナにも迷いはあった。けれどもここでダズを失ったり、自分が死ぬのはいやであった。

  「炎の刃。」

  火属性の剣だ。

  ダズが水竜の幻影を切り裂いた。

  「りんりん。」 

  アンナがおもいっきり鈴を振るう。

  アンナの鈴だ。

  術の通路をいっきに破壊した。

  「グオォオオオオ。」

  水竜の幻影がおたけびをあげて消滅した。

  「やったわね。」

  セヌーネがダズの肩を軽くたたく。

  水竜の幻影の背後には扉があり、ついにハイデル城内への入り口へと一行はたどりついた。

  

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風吹く大地  34

34、「木の精霊よ、いざ。」

   セヌーネが魔法グッズを取り出す。そしてセヌーネが魔法グッズから木の精霊を召還した。

   セヌーネの魔法グッズだ。

   (水の洪水。)

   水竜が洪水をおこして、一行を押し流そうとする。しかし木の精霊が水を吸収して、洪水を受け止めて一行は助かる。

   「我を召還せし者よ、たのみごとは何ですか。」

   と精霊が問うとセヌーネが、

   「幻影から水を吸収して。」

   と返事をして、木の精霊が水竜から水を吸収して、水竜の幻影がへなへなになり始める。

   「ダズ、水神様の幻影を攻撃して。」

   とアンナが叫ぶと、

   「本当にあれは水神様の幻影だよな。」

   目の前にいる水神様の幻影は偽者だと信じきるにはいままでがリアルすぎた。本物の水神様を倒したのではなんのためにここまで来たのではすまない。今度こそ本当に水神様の幻影を倒せそうなのでダズは迷った。

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風吹く大地 33

33、水竜の幻影でもそうとうな攻撃力があるらしい。ダズもアンナもセヌーネもそうとうなダメージをくらった。さすが水竜の幻影。アンナがいそいで回復のエナジーを送る。

 「りんりん。」

 アンナの鈴だ。

 「炎の刃。」

 火属性の剣だ。

 ダズの攻撃である。

 (水の結界。)

 水竜の幻影は水の結界でダズの攻撃を防御した。

 「赤き炎よ。熱き炎よ。いざ。」

 セヌーネがおまじないグッズを使った。

 「いかずちよ。光の刃よ。いざ。」

 雷の属性の剣だ。

 ダズの攻撃である。

 「きゃー。」

 アンナが悲鳴をあげる。

 ダズが水竜に一撃をくらわせた。

しかしいずれも水の結界にはばめれてしまう。

(水の刃。)

水竜があたり一面に水の刃を放った。

「りんりん。」

アンナが今度は防御の結界をはったので、今度は一行のダメージは少なかった。

アンナの鈴だ。

「アンナ。水竜の弱点は。」

「水神様の幻影にダメージをあたえないと。今回は警戒して術の通路が切断されながら術が放たれているわ。」

アンナが目を閉じて術を放とうとする。本気モードだ。術の通路を破壊するきである。

 

 

  

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風吹く大地 32

32、「水神様だ。なんだか怒っているようだぞ。」

   ダズが水神様の様子が変なのでねんのために剣をかまえる。

   「ダズ。これは幻影よ。」

   アンナが叫ぶ。

   「そこまでするか。」

   ダズが剣を手で握りしめる。

   (水の刃。)

   水竜が水をはじいてダズとアンナとセヌーネを攻撃した。地面のコンクリートに大きな穴があく。

   「つっ。」

   「うっ。」

   「くぅ。」

   幻影でもそうとうな攻撃力があるらしい。一行は攻撃をうまくよけきれず、そうとうなダメージをくらった。さすが水竜の幻影。

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本文 31

31、「ハンス王子。実はわたくしの配下の者をおくりこんだのですが、やぶれさりました。もう後がございません。侵入者たちはもうじき場内への入り口にたどりついてしまいます。ここはわたくしが。」

ナダがいつもの調子でそういう。

「平気だよ。あともう一つトラップがあるだろう。ほーら。侵入者たちがはまった。」

ハンス王子もいつもの調子でそういう。

水晶にはダズとアンナとセヌーネが写し出されいる。そしてもう一匹。

「ぐわあぁぁああぁあぁぁあ。」

水竜がおたけびをあげた。これは本物か幻術か。

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本文 30

30、「いかずちよ。光の刃よ。いざ。」

   アンナの術の落雷が術者に直撃する。

   ダズとセヌーネが耳をつんざくような騒音で目をさます。

   「なんだ。」

   「なにかあったの。」

   ダズとセヌーネがあたり一面をみわすと、額の紋章はもう消えているが呆然とたちつくしているアンナと、黒焦げになった術者が倒れている。この術者は幻影ではなかったのだ。

   ダズとセヌーネはだんだんと状況を把握してくる。

   「アンナが敵を倒したの。」

   セヌーネが呆然とたちつくしているアンナと、術者のなれの果てをまじまじとみつめる。

   「アンナだろう。」

   ダズはアンナがおこると怖いことを、幼いころからの付き合いで知っている。

   「早くいきましょう。」

   めずらしくアンナが先頭を歩く。

  

   

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本文 29

29、アンナの見ている夢が突然変化した。テレビのチャンネルが突然きりかわるように、洪水が発生した。アンナは海の中にのみこまれてゆく。

  (く、苦しい。息ができない。)

  アンナは呼吸困難の感覚にとらわれて目をさます。まるで幽霊やお化けにおいかけれたように息があがっている。動機をおさえるためにアンナは深呼吸をした。

  「頭にくる。」

  アンナは夢をみさせられていて、心をもてあそばれいたことを大変不愉快に思う。夢は他の者がコントロールしていいわけがない。アンナの中のなにかがそうさけぶのだ。

  「どうやら、エルフの血がまじっていることは確かなようだな。」

  術者がそういい、術者の肩にとまりなおしたこうもりがそうオウム返しをする。エルフの紋章がアンナの額にうがび、こうもりをうちかえしたのだ。そしてアンナは鈴鳴らして、結界をうちやぶった。こうもりを全部倒したのだ。そうしてアンナはもう一度鈴を鳴らす。

  「なに。」

  術者が驚く。コウモリを全部倒したことと、もう一つ。

  「結。」

  アンナの目にはいまなにもうつっていない。

  「なんなんだ。」

  術者が金縛りにあい、身動きがとれなくなった。

   

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本文 28

28、ダズとアンナとセヌーネは夢の中だ。コウモリたちは結界をはり続けている。術者は結界の外だ。自分で仕組んだ罠に飛び込んだりはしない。

   「我々の力を思い知ったか。」

   術者はがっはっはっと愉快そうに笑う。

   「がっはっはっ。」

   術者の肩にとまっているコウモリも愉快そうに笑う。そして地下通路に術者とコウモリの笑い声が反響した。

   「後はとどめをさすだけだ。」

   肩にとまっているコウモリに、術者は槍をもたせる。

   「ん。んーん。」

   アンナが腕を動かす。

   「リ、リーン。」

   アンナの耳に鈴の音が聞こえて神経を刺激する。

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本文 27

27、「アンナよくにあうわよ。」

   「母さんの花嫁姿にそっくりだ。」

   アンナはいつのまにか、大人になりウェディングドレスを着ていた。いつのまに大人になり、結婚することになったのだろうか。

   「お父さん、お母さん、いままでわたしを育ててくれてありがとう。」

   おきまりのパターンだが、当事者になれば感慨深いものである。

   「つい最近までお人形遊びをしていたのに。大人になったんだな。」

   「だんなさんと仲良くね。」

   アンナとアンナ両親はなんだか涙ぐんでくる。

   「おめでたい日にしんみりとするのもなんだわ。」

   「そうね。アンナ。泣いたらせっかくのお化粧がだいなしよ。」

   アンナがくすくすと笑い、つられて両親も笑う。

   「楽しそうですね。」

   お婿さんが部屋の扉を開けて入って来た。お婿さんの顔はぼやけているけれども、結婚式のために正装をしているのは確かなようだ。背広を着ていて、白いネクタイをして、白い花を胸につけている。

   「アンナは白がよくにあうね。」

   お婿さんはさらりとほめ言葉を口に出していうタイプらしい。

   「ほれなおしたかしら。」

   「うん。ほれなおしたかも。アンナは僕の姿を見てどう。」

   お婿さんの視線が緊張をさそう。アンナの顔が緩んだり、赤くなたっりする。

   「かっこいいかな。」

   うつむいているアンナにありがとうとお婿さんはささやいた。

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本文 26

26、「社長ココアをどうぞ。」

   社長のいる席に社員がココアを運んできた。

   セヌーネはスーツを着ている。そしてなぜか社長になっているのだ。

   「ご苦労様。」

   セヌーネが目を通していた書類をいったん机の脇におく。会社の決算報告書によると今月は三百万の黒字だ。

    「ワインもいいけれども、こういう甘いのもいいわね。」

    「昨日のパーティはいかがでしたか。」

    「んん。そうね。今回の契約も順調にいきそうよ。」

    気難しそうな人だったけれども、会話のこつをつかめばこっちのものだった。

   「午後からは新聞の取材が入っているんですよね。」

    「ええ。きっと女の社長がめずらしいからだわ。」

    セヌーネはすましたふりをする。しかし今日のためにファッション雑誌に目を通してセンスをみがき、普段よりもお化粧やファッションには気をつかっている。けれどもそれは秘密だ。

    わたしの人生はぬかりなく順調に進んでいる。後人生でプランを立てなければならないとしたら、恋愛と結婚だろう。性格と容貌をあわせもった財閥の御曹子とか、いくつも賞をそうなめにしている俳優にエスコートされたらすてきだ。

    想像するだけならかってである。けれども仕事中にグフグフと笑うのは威厳にかかわる。

    若き社長セヌーネはコホンと咳をして気分をきりかえる。

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本文 25

25、「あなた。ご飯の味はどうですか。」

   テーブルに向かいあっている女性が微笑む。視界がぼやけて顔がみえない。けれどもダズはまるでその女性を当然のように奥さんだと思った。

   「ああ。」

   ダズはもくもくとテーブルに並べられた食事を食べる。食感がともなうあたりが夢よりもリアルだ。

   「どうやらお口にあったようね。」

   「特においしいってわけでもないけれどもな。まずくはないかな。」

   ダズの奥さんはぶっきらぼうな言葉を軽く受け流す。暖かな雰囲気で微笑んでいるあたりが余裕だ。愛のなせるわざだろうか。

   庭で飼っている犬のセバスチャンが吠えているのが聞こえた。

   「セバスチャンがあなたに散歩に連れていってほしいって。」

   「犬の言葉がわかるのかよ。」

   「いいえ。感よ。セバスチャンはあなたのことが好きだから。」

   ダズがこほんと咳をする。そしてちょっと犬の散歩に行こうかという気分になる。

   「あなた。はい。アーン。」

   「オレはピーマンが嫌いだ。知っているだろう。」

   ほうっておいてダズが食事をきれいにたいらげることはまずない。

   「好き嫌いをしちゃだーめ。」

   奥さんはうふふと微笑みながらピーマンを箸につまんでダズの口に近づけた。 

   

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本文  24

24、「わかってるって。」

   セヌーネがおまじないグッツを取り出す。

   「氷の刃。」

   氷の剣が幻影の豹を消していった。

    「あとはまかせて。」

    「りんりん。」

    アンナがおもいっきり鈴をふると、幻影の豹はたちまち消えていった。

    前方からなにかが飛んでくる。

    「何、次はこうもりかよ。」

    ダズとアンナとセヌーネは、おそいかっかてくるコウモリたちを次から次へと倒す。

    「まずいわ。早く端にいるコウモリたちを攻撃しないと。」

    「何かあるの。」

    アンナには四方にいるコウモリたちが、結界をはっているのがみえたのだ。

    ダズとアンナとセヌーネは睡眠ガズを吸ったように倒れてしまう。

    一匹のコウモリが人へと姿を変化した。シルクハットをかぶり、スーツを着て、木の杖を持ている。

    「みごとに罠にはまったな。」

    術者が愉快そうに笑う。

    「はまったな。」

    いつのまにか術者の肩にとまっているコウモリが、オウム返しをする。

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本文 23

23幻影の豹があたり一面をたむろしている。

  しかしここは草原ではない。ここはコンクリートに囲まれた地下通路だ。

  「ったくなんなのよ。ここは動物園じゃないのよ。危ないじゃないの。」

  「猛獣だからね。」

  「ガルルゥールール。」

  幻影の豹が突然おそいかかってきた。

  「赤き炎よ。いざ。」

  ダズが剣で幻影の豹をたたき切る。すると幻影の豹はあとかたもなく消えていった。

  「きゃっ。」

  アンナが驚いて幻影の豹からダメージをくらう。

  「アンナ、しっかり。」

  ダズが叫ぶ。

  「ええ。」

  とアンナがうなずく。

  「透明なる水よ。いざ。」

  アンナが幻影の豹を攻撃して水で消した。

  「ほおれ。」

  セヌーネが火の輪を作り幻影の豹をくぐらせる。

  「おい。ここはサーカスじゃないんだぞ。」

  「わたし、サーカスで働いていたこともあるのよ。」

  「そういうことじゃないだろう。」

  ダズが幻影の豹を次々と剣で消していった。

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風吹く大地 22

22、「ハンス王子。トラップはもうすぐ終わりです。わたくしが侵入者を排除しに行ってよろしいですね。」   

   「わざわざナダが出向くほどのことはないだろう。竜を封印しにいくわけではないのだから。それに僕をもっと信頼してほしいな。」

   ハンスがぼんやりと水晶をみつめている。

   「どうかされましたか。」

   「いや。なんでも。」

   水晶にはダズとアンナとセヌーネが座り込み、お弁当を広げている姿がうつっている。

   「のんきなものですね。」

   ナダがつぶやく。

   「食事を取りに行くのを忘れてしまう方もどうかと思うけど。助手さん。仕事の邪魔にならないようにメイドたちはこの部屋には入ってこれない。これはナダと決めたことだろう。僕としては食事を持ってきてもらいたいのだけれども。」

   「気づかなくって申し訳ございません。ただいま持って参ります。」

   ナダはさっそく部屋から出ていった。

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風吹く大地 21

21、蛇が火を口からはいた。

   「うわぁ。」

   三人とも火をよけた。火はみんなに見えるようだ。

   「いきなりなんなんだ。」

   「だからっ。蛇がいるのよ。」

   そういっているうちにアンナは蛇につかまった。

   「え。」

   蛇がアンナにまきつきもちあげた。

   「いやぁあぁあ。」

   「金縛りか。」

   「ちがうわよ。早くアンナの回りを攻撃して。」

   「よくわかんねぇけど。」

   ダズがセヌーネにせかさせれ剣をかまえる。

   「剣の舞。」

   蛇がダズの攻撃を受けて、アンナをしばりあげる力がゆるむ。

   「りんりん。」

   アンナがおもいっきり鈴をならして、蛇から逃げる。

   「赤き炎よ。熱き炎よ。いざ。」

   セヌーネがおまじないグッツを使い蛇を焼き払う。

   「ぎぁあぁああ。」

   幻影の蛇が悲鳴をあげて消滅した。

   「やった、わよね。」

   「ええ。」

   セヌーネに語りかけれて、アンナが同意する。

   「じゃあ先へ進むぞ。」

   「きゃっ。」

   「うぁっ。」

   「なにこれ。」

   「あぶねーな。」

   トラップが発動して、ダズとアンナとセヌーネがが頭上からふる槍をよける。

   ここは敵への城への道。危険がつきものである。

  

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本文 21

21、「いやぁあぁあ。」

   「金縛りか。」

   「ちがうわよ。はやくアンナのまわりを攻撃して。」

   「よくわかんねぇけど。」

   ダズがセヌーネにせかされて剣をかまえる。

   「剣の刃。」

   蛇がダズの攻撃をうけて、アンナをしばる力をゆるむ。

   「りんりん。」

   アンナが鈴をならして蛇からにげる。

   「熱き炎よ、赤き炎よ、いざ。」

   セヌーネがおまじないグッツをつかい、蛇をやきはらう。

   「ぎゃああぁああ。」

   幻影の蛇が悲鳴をあげて消滅した。

   「やった。たおしたわよね。」

   「ええ。」

   アンナがうなずく。

   「さぁ、先をいそぐぞ。」

   「ちょっとまって。」

   「きゃっ。」

   「わっ。」

   「ぎゃっ。」

   「ごめんなさい。」

   「あぶねーな。アンナ。」

   アンナがトラップにはまり、ダズとアンナとセヌーネが頭上からふる槍をよける。

   ここは敵の城への道。危険がつきものである。

   

   

   

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本文 20

20、壁のドミノ倒しはおわったようだ。

   ダズもアンナもセヌーネもぶじだ。

   コンクリートの破片がおちる音が、余韻としてまだ耳に響く。

   「歩きにくいわね。」

   コンクリートが倒壊した上をすすむのと、平坦な道を歩くのはやはりちがう。

   「わぁっ。」

   さいころ型のコンクリートがおちてくる。

   ダズがまたトラップにはまる。

   「ダズ、いまトラップにはまったでしょう。きおつけて歩きなさいよ。」

   「て、おい。どうやってきおつけて歩くんだよ。前にすすむしかないだろう。」

   「あのね。かんよ。かん。」

   セヌーネといいあい、ダズがおもしろくなさそうにむくれる。

   「へ、へ、蛇。」

   「どこだ。」

   「みあたらないわよ。」

   「あっちよ。あっち。大きいのよ。大きいの。」

   その蛇は通常とはちがうサイズでおおきいようだ。

   アンナが前方をゆびさす。

   「みえないぞ。」

   「いないようよ。」

   その蛇はアンナにはみえて、ダズとセヌーネにはみえないらしい。

   「幻術のトラップかしら。」

   「なにそれ。」

   もうすでに近づいてきた蛇が火をはいた。

   「うわぁ。」

   三人とも火をよけた。火は三人ともみえるようだ。

   「いきなりなんなんだ。」

   「だからっ、蛇がいるのよ。」

   「なんだかぬるぬるするわよ。」

   「えっ。」

   蛇がアンナにまきつきもちあげた。

   

   

   

   

   

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本文 19

19、「お腹がすいたわね。そろそろ休憩にしましょうよ。」

   「もうずいぶんと歩いたわね。つかれた。つかてた。」

   セヌーネがせのびをして、アンナが額をぬぐう。

   「さっさとさきにすすもうぜ。」

   ダズはあいかわらず元気なようだ。

   「いや。」

   「ダズ。団体行動をみださないように。」

   アンナとセヌーネがたちどまり、ダズとのあいだに距離があく。

   「ここは敵の城なんだぞ。よくのんきにやすむきになれるな。」

   ダズがもう一歩ふみだした。

   (なにっ。)

   地面のコンクリートがいきなりへこむ。

   後方から大きな音がなりひびきはじめた。

   「まるでコンクリートが落ちるみたいな音がきこえるわね。」

   「まじだって。にげるぞ。」

   「えっ。」

   「うそっ。」

   ダズとアンナとセヌーネがあわてて走りだしだ。

   コンクリートが壁のドミノ倒しのようにせまってくる。

   天井からコンクリートの壁がどんどん落ちてきて、倒れる仕組みになっているらしい。

   ダズがアンナの手をひいて走り、スピードをあげる。

   しかし人間には限界があるものだ。

   「もうだめ。」

   アンナがコンクリートの壁につぶされそうになる。

   「剣の舞。」

   ダズが剣でコンクリートをかちわった。

   「きぁああ。」

   コンクリートの破片があたりに散乱する。

   ダズがアンナをかばい、セヌーネがみがまえる。

 

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本文 18

18、「ふーん。なかなかおもしろい侵入者だね。」

   ねずみの幻影をつくりだしていたハンスがくすくすと笑う。

   水晶にはダズとアンナとセヌーネがうつしだされていて、地下通路をすすんでいる。

   「ハンス王子。おあそびはそこらへんにして、侵入者を撃退してください。」

   側にいるナダがしびれをきらす。

   「なーに。ほっておいても平気だよ。ナダ。あのなかには水竜の封印をとける者はいないのだから。」

   ハンスは側においてあるティーカップを手にとった。

   「そんなのあたりまえです。それよりもお城に侵入されることを警戒しているんです。今回の侵入者できなさそうで、できます。」

   ハンスは熱い紅茶で喉をうるおした。

   「ナダは僕の腕前をうたがうのかい。」

   口調はおだやかだか、相手をおさえつけるようないいまわしだ。

   「いいえ。そのようなことはございません。けれども仕事はもうすこし迅速におこなったほうがよろしいかと。」

   ハンスはティーカップをおくと、かすかに溜息をついた。

   「どっとみちしかけてあるトラップが足止めしてしてくれるさ。」

   水竜への道はけわしいようである。

  

   

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本文 十七

17、「いかずちよ。光の刃よ。いざ。」

   ねずみの妖獣が杖をふりおろす。

   「疾風よ。いざ。」

   ダズがすかさず剣をふり、落雷をきりさいた。

   「アンナ。ねずみの妖獣を倒す方法は。」

   セヌーネがねずみの妖獣をにらみつける。

   「このねずみは幻影よ。術の通路をふさぐといいわ。」

   いままでねずみの妖獣をさぐるようにみていたアンナは、鈴をならしはじめる。

   「なんだって。オレたちもてあそばれていたのかよ。なんだかむかつくな。」

   ダズはおもいっきり足をふみこみ、ねずみの妖獣に攻撃をしかけた。

   しかしまたもや結界にはばめれてしまう。

   「疾風よ。いざ。」

   ねずみの妖獣からの攻撃だ。

   突風が吹く。

   ダズとアンナとセヌーネは突風に吹きとばされないように姿勢をひくくしてたえた。

   「りりりん。」

   アンナがおもっいきり鈴をならす。

   ねずみの妖獣の幻影がへなへなになり、ゆれだした。

   術をあやつる者と、ここをつなぐ通路がゆがみだしたのだ。

   「ダズ。あそこを攻撃して。」

   アンナが天井のあたりを指差した。

   「疾風よ。いざ。」

   ダズが術の通路をきりさく。

   すると。

   「ぎぁあああ。」

   悲鳴とともにねずみの妖獣はきえていった。

   「やったわね。」

   セヌーネがダズの肩をかるくたたいた。

   

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本文十六

16、地下通路をあるいていると、足音のほかにわずかな雑音がする。

   「ねぇ、いま足元を何かが通りすぎなかった。」

   「ねずみだろう。」

   ダズはなにげなく、足元にいたねずみをけっぽる。

   「いやぁあぁぁあ。」

   アンナがじたばたする。

   「ちょっと。ダズ。わかっているならはやくおしえなさいよ。」

   セヌーネがポシェトから魔法のグッツをとりだす。

   「赤き炎よ。あつき炎よ。いざ。」

   セヌーネが炎をよびおこしてねずみをおいはらう。

   「侵入者発見。」

   人ぐらいのねずみの幼獣が突然目の前にあらわれた。

   「おまえらがざぐからだぞ。」

   「ごめんなさい。」

   「なによ女は繊細なんだから。」

   三人ともさわぎつつも、武器などをかまえた。

   「炎の刃。」

   ダズが攻撃をしかける。

   しかしねずみの幼獣は結界をはっていて、剣ははじきかえされた。

  「赤き炎よ。あつき炎よ。いざ。」

  セヌーネの攻撃により、幼獣が炎につつまれる。

  けれども幼獣は防御の結界をはっているので、ダメージはなさそうだ。

  「ふーん。それだけ。」

  幼獣はにやりとわらった。

  

   

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本文 十五

15、高級そうな書物がつめられた本棚がずらりとならんでいる。

   それが骨董品と同じような味わいぶかさをかもしだしている。

   さまざまな分野の本がそろえてあるが、圧倒的に術にかんする書物が多い。

   ハンスは椅子に腰かけて、書物を読んでいる。

   目の動きや表情から、文章を真剣に読んでいることがうかがえる。

   本のページをめくる手つきがなれていてあざやかだ。

   時計針の音が空間に響く。

   突然部屋の扉があいた。

   「ハンス王子。お仕事です。城に侵入をもくろんでいる者たちを発見しました。」

   ハンスが本をとじて、紙がわずかに風をおこす。

   「わかった。行こう。」

   ハンスはたちあがり、よびにきた者のあとについて部屋をでて、廊下を早足で歩く。

   廊下には警備にあったているものが数名たっている。

   「ナダ。侵入者は何人だい。」

   「三名です。二十代ぐらいの女が一人と、子供が二名。」

   ナダとセヌーネは同じくらいの世代だ。

   「へー。そうかい。なにかすでに対処はしたの。」

   「いいえ。まだです。」

   ナダが部屋の扉をあけると、水晶がテーブルの上においてある。

   そして水晶にはダズとアンナとセヌーネがうつしだされていた。

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本文 十四

14、暗雲の下をこうもりたちがとびかい、不気味な鳴き声を響きわたらせている。

   真夜中にでた亡霊のようにうきたつがんへきの上のハイデル城。

   それをダズとアンナとセヌーネがみつめている。

   森でふくろうが一声鳴いた。

   こわれかけ家の扉が風でゆれて、きしむ音がきこえた。

   「井戸の下にある地下通路が、ハイデル城につながっているのね。」

   「ええ。地図によるとそうよ。」

   セヌーネが地図をみつめる。

   「いくぞ。」

   ダズはすでに井戸の壁にてをかけている。

   ダズとアンナのセヌーネははしごをつかい、地下通路へと降りていった。

   下を見ると落下しないように、自然と手足に力がはいる。

   地面までつくとセヌーネがランプに火をつけた。

   「どっちにハイデル城があるんだ。」

   「まって。こっちよ。」

   セヌーネが方位じしんで確認して示した方向へダズが歩き出す。

   「ダズ、そんなにいそがなくても水竜は逃げていかないわよ。あせりは禁物だわ。」

   セヌーネによびとめられて、ダズは歩くスピードをゆるめた。 

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本文 十三

13、宿のテーブルに地図が広がっている。

   地図の内容はかなり特定の地域にしぼられてかかれているようだ。

   「現在地はここ。そしてハイデル城への進入口はここよ。」

   セヌーネが二箇所順番に指さした。

   城への侵入口は首都のこうがいにある。

   緊急時に脱出するための通路が、逆に進入経路にもなってしまうらしい。

   「いったいどうやってこういう情報をしいれてくるんだ。」

   ダズがセヌーネの目をさぐるようにみる。

   「秘密よ。」

   (この情報はとても高値だったのよ。水竜の封印をといて賞金でもとでをとらないと。)

   セヌーネはお金の収支を暗算する。

   「あしたはいよいよ水竜の封印をとくための行動開始よ。今日はゆっくり休みましょう。」

   セヌーネが地図をたたみ、ダズが部屋からでていく。

   そして三人はまだ早いうちに眠りについた。

   時計の秒針が動き、確実に時をきざんでいく。

   昼間の騒々しさがうそのように、あたりは静かになった。

   ダズもアンナもセヌーネもベットの上でねがえりをうち、目をぱっちりとあける。

   ベットに横になっても、三人とも眠れないようだ。

   明日はいよいよ水竜の封印をときにいくので、プレッシャーからだろうか。

   「アンナも眠れないようね。」

   セヌーネがぽつりとつぶやく。

   「ええ。つかれてはいるんだけど。」

   「こういう時にはウサギの数をかぞえるといいのよ。」

   「羊なのでは。」

   「ウサギでいいの。そのほうがぴょんぴょん跳ねて楽しいから。」

   「それじゃおちつかないわ。」

   「あら、そう。」

   アンナとセヌーネがわずかに笑った。

   

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本文 十二

12、ハイデル国の首都。

   天気はあまりよくないが人通りはおおい。

   都会にふさわしいにぎわいをみせていて、日用品や食品をうる店がたちならんでいる。

  そしてこの首都の特徴は魔法のグッツを販売している店がおおいことだ。

  あやしげな店もある。

  「地図によるとあの先に名物の大判焼きの店があるらしわよ。」

  セヌーネが地図と建物とをみくらべる。

  「あのな。観光にきたのかよ。」

  ダズは水神様の封印をときにきたことを忘れるなといいたいのだろう。

  「あら。ここの大判焼きおしいのよ。きじがピリカラ味なんですって。食べたくないの。」

  大判焼きの中身の定番はあんこだが、ここの名物はキムチがはいっているらしい。

  「わたし、大判焼き食べたいな。」

  「そうでしょ。」

  セヌーネがアンナにつめよる。

  「ほら、これをみて。」

  セヌーネがアンナに観光案内の雑誌をわたす。

  「あとそれからわたし、観光案内にのっていないような情報もしいれてあるのよ。あとでみせるわ。」

  セヌーネがバックをぱんぱんと軽くたたいた。

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本文 十一

11、車両のドアがあき、前の車両から人がでてきた。

   「あっちに山と、湖がみえるわね。」

   セヌーネが窓の外の景色をみるようにうながす。

   ダズとアンナが外の景色に目をむけた。

   空高くつらなる山。それを水面にうつしだす湖。

   山の緑と水面のすんだ透明の色がみごとに調和している。

   ここでなら絵葉書にできそうな写真がとれるだろう。

   先頭の車両が川まできて橋を通過しようとする。

   川の底は深い渓谷になっている。

   (あの三人がターゲットか。まったくのんきなものだな。これからこの汽車がどうなるかしったらパニックになるぜ。)

    前の車両からでてきた人が、そうおもい後方の車両へいく。

    そして呪文をとなえはじめた。

    「なんだかいやな予感がするわ。」

    ぼんやりと外をながめていたアンナが突然たちあがる。

    アンナの脳裏から汽車が脱線して、渓谷におちる映像がはなれない。

    汽車は通常はしっている時とはちがいおおきく揺れた。

    呪文をとなえている人の背後に、突然なのものかがきて肩をたたく。

    「ハンス様、なぜここに。」

    「さぁね。」

    ハンスが鏡をむけると、呪文をとなえていたものが鏡のなかにすいここまれた。

    アンナがすでにかけつけいてハンスを凝視する。

    そしてダズもアンナもセヌーネもすでに警戒してみがまえている。

    「おい、まてよ。」

    ハンスがまだあいている空間移転ようの穴をくぐった。

    穴はすぐにあとかたもなくなくなる。

    車両をつなぐ通路にいるのは、ダズとアンナとセヌーネだけになった。

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本文 Ⅹ

10、 駅。下りの汽車が煙をあげて加速していく。

    「あんたが水神様の封印をとくのはこれが目的か。」

    ダズがセヌーネにむかって掲示板をゆびさす。

    「どれどれ。水神様のゆくえをさがして、つれもどしたものに賞金をさしあげます。

それがどうかしたの。」

    セヌーネは掲示板の賞金額をみて、水竜の封印をとくために行動をおこしたのだ

がとぼける。

  「この広告、わたしたちの村と近隣の村が共同で発行したのだわ。」

  「なんだよ。まったく。オレたち信用されてないのかよ。」

  水竜の封印をとくのはダズとアンナにまかされたはずだ。

  ダズが不愉快そうに眉をひそめる。

  そしてダズはひそかにオレが水神様の封印をとくと決意するのだった。

  セヌーネが時計の針をみて上りの汽車がくる時間だとうながす。

  ダズとアンナとセヌーネがプラットホームにつくと、汽車がきた。

  汽車が三人をのせて走りだす。

     

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本文 Ⅸ

9、レストランにおだやかなクラシックの曲がながれている。

  けれどもテーブルをかこんでいる三人の雰囲気は微妙だ。

  「アンナ。なんでこいつまでいるんだよ。」

  とダズがセヌーネのことをきく。

  「わたしにきかないで。」

  アンナがパスタを口にはこぶ。

   「わたしはこいつじゃなくて、セヌーネよ。ぼうや。」

   ばうやという言葉が強調されているのはきのせいだろうか。

   「あんたのやっていることは年のいった男ならストーカーだぞ。」

   「ダズ。それはいいすぎよ。」

   「これから仲良く旅を一緒にしていく仲間に、そういうこといわないの。」

   セヌーネがいつのまに仲間になったのか。

   「はぁ。」

   「えっ。」

   ダズとアンナがびっくり箱をあけたみたいに驚く。

   「話によるとあなたたち、水竜の封印をとくために旅をしているんでしょう。わたしも同じ目的で旅をしているのよ。」

   水神様をうばいかえすなら、誰か味方につけておいたほうがとくだろう。

   「これなーんだ。」

   セヌーネがポケットからおまじないや魔法のグッツをとりだす。

   「それに旅をしているなら、大人が一人ぐらいいたほうがいいわよ。男女二人でかけおちをしているわけじゃないんでしょう。ご兄弟。」

    また兄弟だとまちがえられたダズとアンナである。

    

   

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本文 Ⅷ

8、 術者が水晶にむかって、呪文をとなえ続けている。

   けれども術者と部屋の風景は水晶にうつっていない。

   かわりにダズとアンナとセヌーネがレストランにいる風景が水晶にはうつっている。

   この者たちはいずれハイデルにたてつくものたちである。

   それはたしかなようだ。

   術者はそこまではわかった。

   けれども未来は完全には予知できない。

   映像をすすめようとすると、画像がぼやけてみえなくなる。

   何者かが未来を予知するのを妨害しているのだ。

   わたしは王に依頼さられて未来を予知するほど、この分野を得意としているのだが。

   それに妨害をしりぞける方法も十分にこころえている。

   「どうやら未来予知を妨害する術をつかった者がいるようですね。」

   王の側近のジフィーがぼやけた水晶をのぞきこみながら思案する。

   「妨害しているのが何者なのかを、調査してみる必要がありそうですね。」

   他国がわがハイデル国をおとしいれるために、未来予知を妨害しているようならば、

 早急に手をうつべきであろう。

    ハイデルにたてつくであろうこの三名に、危険がせまればしっぼをだすだろうか。

    水晶をみればダズとアンナとセヌーネにレストランでは料理を運んできている。

    ジフィーはわずかにほくそえむだ。

    (あいさつ)

     あけましておめでとうございます。

     本年もよろしくお願いします。

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ちょっと一息

 三姉妹とスマップ

   「こちらゲストの三姉妹です。こちら側からミミチャン、ハナチャン、ナミチャンです。」

   テレビに出演している、三姉妹が手を振る。

   「ちょうど冬の季節になってきました。わたしようもないのにマフラー五枚も編んでしま

  ったんですよ。」

  とナミチャンがいう。

   「帽子は。」

   と司会者がきく。

   「帽子は編んでません。これはミミチャンが編んでくれたのです。」

   と ハナチヤンがこたえる。

   「この毛糸のグッツ全部手づくりんなんですよ。」

   とミミチャンが主張する。

   「へぇ、そうなんですか。」

   と司会者が関心したようにいう。

  「このかっこうで三人でテーマパークにいってこようとおもいます。」

  とハナチャンがいう。

  「では、楽しんできてください。スタンバイのほどよろしくお願いします。」

  司会者がひとくぎりする。

  「スマップのみなさん、お元気でしたか。」

  「はい。」

  とスマップのメンバーが返事をする。

  「このまえは・・ドームでコンサートを開いたんですよね。」

  と司会者がきく。

  「きてくれたみなさんありがとう。」

  スマップのメンバーが手を振る。

  「「世界にたった一つだけの花」も歌ったんですよね。」

  と司会者に聞かれて、、

  「はい。」

  とスマップのメンバーが返事をする。

  「みなさんはどのような花になりたいですか。」

  と司会者がきく。

  「もちろんアイドルですので、みなさんを喜ばせるような花になりたいです。」

  とスナップのメンバーが返事をする。

  「では、スタンバイのほどよろしくお願いします。」

  と司会者がひとくぎりをいれる。

    (三姉妹が歌う。)

  「 粉雪」

  この粉雪よ

  あの人への思いを

  もう積もらせないで

  もう降らないないで

  しんしんと降り積もる

  残酷なまでのこの静けさ

  あの人はね

  もう帰ってこないのよ

  思い出はいつだって

  きれいなのよ

  粉雪よ

  だからもうそんなに

  きれいにふらないで

     (スマップが歌う)

 「 たったひとつの」

  たった一つの愛さえ守りぬけず

  たった一つの愛さえ守りぬけなかった

  そんな君への言葉は

  償いじゃなくむなしささ

  君と僕とならはばたける

  そう信じていた日々がある

  それは偽りじゃなく

  本気だったのさ。きっと。

  たった一つの愛さえ守りぬけず

  君のおもかげとともに

       {完}

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本文 Ⅶ

7、 市の雑踏の中を少女が買い物袋をかかえて歩いている。

  (けっこう買ったわね。)

     アンナが両脇や前にかかえている荷物をながめる。

  市ではめずらしい品がうられていて、つい買いすぎてしまった。

  アンナは大通りを歩いて宿へとむかう。

   後ろから馬車のくる音が聞こえる。

  「ヒィヒィーン。」

  車のクラクショウンみたいに、けたたましく馬がないた。

  雑踏の中を行く人々がふりかえる。

  (あぶない。)

  アンナは状況をよく理解する前に、子供を術ではじきとばした。

  馬車に子供がはねられそうになっていたからだ。

  子供があぶないところで馬車の進路からずれた。

  馬車が止まり、あたりはしずまりかえった。

  「うわぁあああん。」

  迷子になってさみしくなったみたいに子供がなきだした。

  お店のそばにいた子供の母親がかけよってくる。

  買い物にきをとられているすきに、子供がそばからはなれてしまったのだろう。

 (荷物おとしちゃった。食器がわれてないといいけど。)

  アンナは地面にしゃがみこみ袋をひろおうとする。

  「あなた、エルフの血がまじっているでしょう。」

  (あらら。)

  みしらぬ二十代ぐらいの女性が、アンナの買った品のつまった袋をもちあげる。

  「あの。その袋わたしのですけれど。」

  アンナはすでにさっとたちあがっていた。

  「それぐらいわかっているわよ。」

  アンナは警戒しつつ、その女性から袋をうけとった。

  アンナがエルフの血がまじっているとのだとみぬけて、しかも本人が術をつかったことをみぬける人物とはどういった人物なのだろう。

  それに声をかけるのはなぜか。

   

  

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本文 Ⅵ

6、大きな時計台から、鐘の音が町になり響く。

  ここはデバノの町。

  大通りは買い物客でにぎわっている。

  今日は市がある日らしい。

  ここの町の名物の食器などがテントにところせましとならんでいる。

  「ねぇ。ダズ。宿で荷物をあずけたら、市を見にいきましょうよ。村ではうってないような

デザインの食器がいっぱいあるわ。」

  今日は町につくまで荷馬車にのせてもらったので、アンナはそれほどつかれれていないらしい。どのような店があるのかを、チェックしてあるいている。

  「おれはパス。」

  ダズは荷馬車にゆられてよってしまい、すでにへとへとだ。

  町の広場の近くまであるいていくと、宿がみつかった。

  宿の扉をあけると、カウンターにいる係りの人が、こちらをむく。

  ダズとアンナがカウンターにむかい歩いていった。

  「あの、すみません。こちらで一泊したいんですけど。」

  ちょっとのあいだ沈黙。

  「失礼ですが。ご兄弟だけでのご旅行なのですか。」

  この年齢ならば両親が同伴すべきだと。係りの人はやんわりと主張しているのだろう。

  なんとか宿がとれたあと。子供ってふべんだわ、とアンナがつぶやく。

  「あっちも商売だからな。」

  ダズはまだ子供なのにけっこうシビアだ。

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本文 Ⅴ

5、 森の木のトンネルが続く道。

   太陽のこもれびが森を照らす。

   「ここはどこらへんなのかしら。」

   「森をずっと歩いているとわからなくなるか。」

   「まるで島も陸もみえない大海原のなかを歩いているみたい。」

   「なんで海になるんだ、ここは山だろう。」

   小鳥のおだやかな鳴き声が聞こえる。

   鹿がダズとアンナから逃げていった。

   「海ならかもめや魚がいるわね。海の波の音と木の葉のざわめく音って、にているのかしら。」

   「さぁな。オレもアンナも海にいったことがないからな。でも海賊っていうのはいるじゃないのか。ああいうやつらが。」

   ダズとアンナの目の前に、人相のわるそうな大人が数人たちはだかる。

   山賊だ。

   「命がおしいなら荷物を全部おいていけ。ガキども。」

   山賊たちはおきまりのセリフをはいて、げひんな笑い声をあげる。

   「うるさい。だまれ。ゲース。」

   ダズとアンナはみがまえていて、山賊たちが口をゆがめた。

   「このやろう。」

   山賊がダズになぐりかかる。

   ダズが攻撃をかわしジャンプする。

   そしてダズがもう一度とび、パンチが山賊のほうにくいこんだ。

   「やりやがったな。」

   山賊が棒をもちだして、なぐろうとする。

   ダズは攻撃をかわして、剣で棒をたたききった。

   「おい、ガキ。おとなしくしろ。」

   「いやっ。」

   アンナが山賊につかまりそうになり、術ではじきとばした。

   「ちくしょう。おぼえていろよ。」

   すてぜりふをのこして山賊たちがにげだした。

   しかしダズが山賊の腕をつかむ。

   「なんだよ。」

   ダズと山賊がにらみあう。

   「デバノの町まではあとどのくらいだ。」

   「はっ。なんだそりゃ。」

   ダズの質問を聞いて、山賊はおもわず口をぽかんとあける。

   デバノの町は次の目的地である。

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本文 Ⅳ

  4.川から水を得ていた村では、深刻な水不足がおきている。

    川は枯渇しきっていて、川底にでさえ水がないのだ。

    けれども雨水や井戸の水ならある。

    だから飲み水は確保できているのだが、農作物用まではゆきわたらないのが現状だ。

   水不足で今年の作物の収穫ができないと生活にかかわる。

   今日は近隣の村から村長などが集まり、対策を話し合うことになっている。

   東の空をみつめると朝日が上り始めている。

   地平線が赤く染まっているが、太陽はまだでていない。

   ダズとアンナが丘の上から村をみつめる。

   「ここに来たのはひさしぶりだな。」

   「いいながめね。」

   家があり畑のある風景だが絵になる。

   ごくありふれているけれども心がなごむ。

   (水神様の封印を解いて、かなず帰ってくるわ。)

   (アンナはオレが守る。)

   アンナが村をみているのを、ダズが見つめる。

   それぞれの思いを胸にひめて、ダズとアンナは村から旅立った。

   

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本文 Ⅲ

3、夜空には天の川そっくりの星の中に二つの星。

  星々が二つの川を橋渡しをしている。

  一つの星はアンデル。そうしてもう一つの星がクールラだ。

  アンデルとクールラは恋人どうしで、七夕の伝説みたいに年に一度だけ会えるとされている。

  今日はその日だ。

  「きょうは特別に星がきれいね。」

  「そうか。いつもとかわらないぞ。」

  「あのね。気持ちの問題よ。今日は恋人どうしが空でめぐりあうロマンチックな日なんだから。」

  アンナが星をみながら歩く。

  「今日は笹の船にのせて、願い事をかいた紙を流せなくって残念だわ。旅の安全をねがおうと思っていたのに。」

  「川があるなら旅にでなくっていいっての。」

  「そうね。」

 ダズとアンナが言葉をかわした。

 そよ風が吹き、木の葉をゆらす。

 「神託をきいたでしよう。私達水神様の封印をとくために旅立たなければいけないよ。」

 「それがどうかしたか。」

 「旅には危険がいっぱいあるのよ。それに家族とも友達ともしばらく会えなくなるわ。それに私達はまだ子供なのに。」

 「なんだよ。オレって剣術で大人にひけをとらないぜ。それにアンナはそうとうな術の使い手じゃないか。」

 ダズはますっぐに前をみすえる。

 「そうよね。」

 アンナはくすくすと笑う。

 「何がおかしんだよ。」

 ダズがむくれる。

 「んーと。わたしってけっこうあまえんぼうなんだなって。ダズはさみしくないの。」

 「さあな。」

 ダズは上をもあげて、わずかに溜息をついた。

  

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本文 Ⅱ

 2、村のはずれにある神殿。

   礼拝の日ではないので訪れる者は少ない。

   ちょっと色あせた建物が独特の雰囲気をかもしだしている。

   祭壇のある部屋をしめきり、巫女が水神の像の前で祈りを捧げている。

   風もないのにろうそくの炎がゆれた。

   巫女が神託を告げる。

   「このたびの水の渇水は、水神様が封印されたことによる。」

   おさめれている鏡につぎつぎと水竜が封印された場面がうつしだされる。

   「水神様の存在なくして水が潤うことはない。水神様はハイデルという国におられる。」

   水竜の封印された鏡がおかれいる部屋が鏡にうつしだされた。

   この部屋には竜が封印された鏡がほかにも何枚もある。

   そして鏡の映像がきりかわる。

   ダズとアンナが鏡にうつしだされた。

   「この少年と少女が水神様の封印をとくために旅立ち、もう一人の仲間とであったとき、未来の災いをけすための運命の歯車がまわりだす。」

  鏡の映像はここでとぎれる。

  神託が終わり見守っていた老婆が口をひらいた。

  「ダズもアンナもまだ子供なのにおおきなものを背負ってしまった。出会う仲間は大人だといいのだが。」

  老女の口ぶりではダズとアンナが旅立つことは、まるで決められた未来であるかのようである。

  まるで神託がぜったいであるかのように。

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本文 Ⅰ

 1、 透明できれいな川の清流。

   魚が川を泳いでいるのが見える。

   (いまだ。)

   ダズが魚を槍で一匹つかまえた。

   魚があばれる。

   「そらよっと。」

   魚が空中を飛び、水がはねる。

   魚は川原においてある籠の中に入った。

   「えいっ。」

   アンナも魚をつかまえて、籠へなげた。

   そろそろもってきた籠がいっぱいになるころだ。

   「先にあがっとくわね。」

   アンナが水をかきわけて川原へと歩く。

   「ああ。」

  とダズが魚を探しながら返事をする。

  いきなり川原の林にいる小鳥たちが飛び立つ。

 川の流れがいきなり逆になった。

 これは夢でも勘違いでもない。

 まるで天変地異がおきたようだ。

 突風が吹き荒れる。

 大地を流れる川の水が、突然山の山頂付近に出現した渦にのみこまれていった。

 ダズが川原のほうへ急ぐ。

 「うわあぁぁああ。」

 ダズが空中におしあげられた。

 魚や石もまじっているので、あたってしまう。

 (いてて。)

 ダズはまるで竜巻にまきこまれたように、水にとじこめられてしまった。

 (う。苦しい。)

 ダズは手足を使い、懸命に水の外へと泳ぐ。

 (やった。空中に手がとどいた。)

 ダズはほっとした。

 しかしダズは水から脱出して勢いよく地面に落下する。

 「いやあぁぁあ。」

 いままで呆然とみていたアンナが悲鳴をあげる。

 けれども心配はいらなかったようだ。

 ダズは体を回転させて、地面にうまく着地した。

 「なんだったんだ、いったい。」

 ダズは空から水が消えていくのをただ見ることしかできない。

 「水神様を奪うために、かなり大掛かりな術がつかわれたのよ。」

 アンナは術の専門知識をもっている。

 「水神様か。」

 ダズが溜息をつく。

 ちょっと前まで水の流れていた川は、干上がって水があとかたもない。

 「川がないと魚が食えなくなっちまうじゃないか。」

 ダズが川原の小石を蹴り、かわいた音をたてる。

 (それだけですめばいいのだけど。)

 アンナは未来にたいする不安をうちけせない。

 籠の中の魚が水を求めてはねている。 

 

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プロローグ Ⅱ

  (水の結界。)

  水竜が身のまわりを包みこみ、金縛りをとこうとする。

  (水のやいば。)

  水竜が水を鋭く放って攻撃にでた。

  術者たちを水が鋭く襲う。

  けれども術者たちは防御の結界をはっていて、水ははじかれた。

  「早急に次の術を開始する。」

  術者達はその言葉にうながされて、術を放つ。

  {光を受けて放てし物よ。光のうずへ。」

  術者達の持つ杖から光が放たれて、水竜の頭上に集まった。

  光の中に鏡が出現する。

  「いざ封印の光を放て。」

 水竜の身のまわりから、水が鏡にすいあげられていく。

 水竜はそれをとめられなかった。

 (うう。無念。)

 水竜がつくりだした結界が消えた。

 術者達は地に足をつける。

 「光輝く鏡よ。いざ。封印へ。」

 術者が重力とは違う方向へむかって力を水竜へ放つ。

 水竜はふんばり、力に抵抗する。

 地面に水竜の爪がくいこむ。

 風が竜巻のように吹く。

 草が円上にへこむ。

 大地のあらゆる水がすいあげられていく。

 「グオオォォォー。」

 水竜は力の限りをつくした。

 しかし力にはかなわなかった。

 水竜は鏡にすいこまれて、封印されてしまう。

 「いざ、閉。」

 宙にういていた鏡が落下した。

 術者のうちの一人が鏡をひろい、みつめる。

 封印された水竜が、まるで装飾の絵のように動かずに、鏡の内の異空間にいる。

 「長居は無用。」

 術者たちは、空間移転の術を使い、煙のように消えていった。

 嵐のような風突風が山頂で吹き始める。

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プロローグ Ⅰ 

 1 、川の源流のある山頂付近。

    雲が霧のように流れている。

    岩に囲まれた洞窟に風が吹き、草がゆれた。

    「グオォオオー」

    突然生き物の泣き声が響きわたる。

    その声は野太く、大型の生物が想像される。

    しかし山頂に生息している大型の生物とは何だろうか。

    雲の間からゆっくりと姿がみえる。

    水竜だ。

    突然太陽とは異質な光がはっせられた。

    空間移転の術が使われたのである。

    (何者だ。)

    突然の来訪者に、水竜が声をかける。

    雲の隙間から白いベールをまとった者達が数人見える。

    「問答無用。」

   数人がいっせいに金縛りの術をかける。術者達だったのだ。 

   

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あらすじ Ⅱ

 2、 地下道には侵入者を撃退するために、トラップや迷路がしかけてあった。

    ゆくてには幻影の妖獣や獣やコウモリ。そして術者たちがたちふさがる。

    一行は水竜の幻影をたおしたりもした。

    さまざまな障害をのりこえて、一行はハイデル城への侵入をはたす。

    そこへハンスが姿をあらわした。

    ハンスは祖国を裏切り、水竜の封印を解く。

    一行は水竜の背中に乗り、ハイデル城を脱出した。

    外にはハイデルの兵士がすでにまちかまえている。

    しかし一行はおってをふりきり、ハイデルから無事に脱出した。

    水竜が本来のいるべき山頂に帰って来た。

    ダズとアンナのいる村を流れる川にまた水が流れはじめる。

    村は渇水から救われたのだ。

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